小道具ほど面白いものはない。

そこには役者をその気にさせるマジックがひそんでいる。


 
 

芝居を勉強するのに、芝居の現場に居なくてどうする!と、先人に言われ・・・・
確かに、他の職業のアルバイトをしていても創造的ではなく嫌だったので、丁度いいタイミング!
いや、運命だったととでもいうべきか、
誘われるままに30代の僕は、舞台の現場での小道具進行チーフをしながら、ミュージカルの現場をよく見てきました。
現場とサポートを合わせて約10年間、ミュージカルの小道具の仕事と関わってきました。

懐かしいのは、青山劇場の小道具部屋です。
あの劇場がなくなるのが寂しい。

何でも自分一人でやりたがった仕事も、さすがに出道具の多さ、仕事の多さには身体が足りませんでした。
そこで、「Annie」「スクルージ」も若者たちが付いてくれました。
その若い人たちにも、仕事を教えて上げていました!!
今も尚、「Annie」の現場で頑張っている「中川愛」ちゃんも・・・・
君が後を受け継いでくれて、本当に嬉しいし、頼もしいです。
そう、君が仕事を覚えてくれたお陰で、僕は本業の役者に無事、戻れましたから・・・・
あっ、思い出した!!
愛ちゃん、君、初めてのボンド張りで、シンナーにやられてダウンしたね!懐かしい。(ばらしてごめん!)

「スクルージ」の現場では、劇団ひまわりの若い俳優たちが小道具班にいました。
彼らにも、いろんな事を教えて上げたり、飲みに連れて行ったり。
その中で、目立って気が利き、よく働いていた高橋浩平君は、今は、「俳優座劇場」のバリバリ働く大道具さん。
今は、反対にお世話になっています。

と、まあ、劇団の若者たちには話したことないが、結構、いろいろな事して積み上げてきているんですよ。

 

 

1995年 ミュージカル『スクルージ』
演出   レスリー・ブリカス
主演   三田村 邦彦
美術   妹尾 河童
舞台監督 中杉 雄一/今野 忠明
主催   劇団ひまわり

 

初めてのミュージカルの小道具進行で初めは戸惑いましたが、ただの小道具さんではなく、役者としての観点から小道具を扱う人になるのがいいと考え、
俳優によりリアルなイメージをもってもらう事を第一目標として、使いやすく現実的な小道具を作りました。
それから舞台装飾もできる限り細部に至るまでリアルである事を目指し(装置家も妹尾河童さんでもあるし、ここは勝負!と思いました。)、チープサイドの街の店の装飾には本物を数多く使いました。

特に、パン屋のショーウインドウに並べるパンを本物にしたのは内田のアイデアです。

これは、原宿のアペティートのパン職人である松永チーフにお願いして、特注で200個ほど作って頂きました。
この飾りパンは本当に素晴らしいものでした。

 
 

1996年 ミュージカル『アニー』
演出   篠崎 光正
美術   ピーター・ウルフ
舞台監督 深見 信生
主催   日本テレビ

 

この年のアニーは新しい舞台装置になりました。
したがって、小道具も数々の変更、追加がありました。
このミュージカルは、ご存じの方も多いでしょうが、子供たちが主人公でもあり、それからスピーディな転換が必要な構成でもあったので、
使い勝手の良い物を作る事が最大の課題でした。

演出部の方々のアイデアとどちらが便利か勝負の毎日を送っていました。

 
 

1997年 ミュージカル『スクルージ』
演出   レスリー・ブリカス
主演   市村 正親
美術   妹尾 河童
舞台監督 今野 忠明
主催   劇団ひまわり

 

スクルージは、非現実的な世界に入り込みます。
観客もどうにかしてこの幻想世界に引きずり込む為に、「あっ!」と言うようなマジックを仕込んでみたい。

特に小さな炎をどう見せるか、本物のような蝋燭をどうつくるか、ここにこだわりました。

スクルージの持つ燭台に苦労しました。
炎は、本物にはかないません。しかし、事故のない事と使い勝手の良さが舞台では必要ですね。


ろうそく売りのろうそくは、デザインを元に「岩崎BI」で、火のつかない蝋細工をして作ってもらいました。
このろうそくは、未だに保管中。(2012年現在)

 

 

1998年 ミュージカル『アニー』
演出   篠崎 光正
美術   ピーター・ウルフ
舞台監督 深見 信生
主催   日本テレビ

 

いかに素敵なクリスマスにするか。

プレゼントの山、プレゼントの箱のデコレーション、クリスマスツリーなど、子供たちの夢のクリスマスの演出にこだわりました。


ラッピングの仕方を研究。「花売り」の花を「東京堂」で結構買った思い出があります。
あれから、造花は、「東京堂」。


あと、一瞬で食べ終わったように見え、そのあとの処理に困らない「ホットドッグ」を作ることを研究。
男子だったら、「ばくばく食って!」なんだろうけど、アニーちゃんは、小学生ですからね・・・・
その子が簡単に扱えて、なおかつ、本物に見え、消えてしまう「ホットドッグ」。
あれ、結構いいアイデアだったと思うなあ。

 
 

1999年 ミュージカル『アニー』
演出   篠崎 光正
美術   ピーター・ウルフ
舞台監督 深見 信生
主催   日本テレビ

 

登場人物それぞれの大切にしている物(役者が役作りのためにこだわる物)を丁寧にリフレッシュしてみました。

 
 

1999年 ミュージカル『スクルージ』
演出   レスリー・ブリカス
主演   市村 正親
美術   妹尾 河童
舞台監督 元木 たけし
主催   劇団ひまわり

 

このミュージカルは過去2回とも、細かい所に気を配って、リアルな空間を演出することにこだわって来ました。

今回は小道具のメンバーが非常に創造的な人々が揃ったので、より充実した物を作り出す事が出来ました。


もちろん、今回も原宿のアペティートのパン職人、松永チーフにお願いしました。

何度見ても、この飾りパンは本当に素晴らしいものです。アペティートの店内にもこの飾りパンがありますから、是非、よくよく眺めて見ては如何でしょうか。

飾りパン用の粉の配合なのだそうで、日にちが経っても、さほど痩せないのが特徴です。

しかし、おいしそうですよ、本当に。
舞台でも、パンのいい香りがずっとしていて、空腹のキャストには、酷だったようですが・・・

 
 
 

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